7・11の討論集会では3人の発言者(味沢さん、天野さん、遠藤さん)にかなり自由に語っていただく会になりました。3人のうち天野さんと遠藤さんは、日常的に宗像さんの相談相手を務めている方たちであり、味沢さんは「男のカウンセリング」を月一回Kネットの事務所で主催されていて宗像さんも参加者の一人です。つまり、お三方とも個人的に宗像さんの「愚痴」を聞いてくれているということなのです。ひとりで三人もの相談相手を持っているのは実に羨ましい限りで、それも自らジェンダー越えを体現するメンズカウンセラー、世の中を裏から鋭い目で見据える障害者、ベテランのおせっかいおばさんで今は婦人相談員という豪華な顔ぶれなのです。中でも天野さんは週一回、宗像さんの介助を受ける車椅子使用の身なので、どうやっても彼の愚痴から逃れられないのが非常に気の毒です。
で、表テーマである「共同養育で家族は超えられるか」はさておいて、裏テーマとして「男はどこまで自分をさらけだして愚痴を言えるか」というようなテーマがでてきた次第です。遠藤さんは、宗像さんが子どもたちを引き取って父子家庭だった頃から支援していた方です。その後、子どもを奪われた男のむき出しの激しい感情と付き合いながら、子育て支援者及び市民運動のベテランとして宗像さんの相談を受け続けていたので、その結果として私たちの活動の基盤づくりに多大な貢献をいただいたと思っています。
日本人の常識として、「人様に迷惑をかけないように」と家庭や学校で教え込まれている私たちには「愚痴」を言うということ自体が好ましいことではありません。女性には昔から井戸端会議で愚痴を言い合う習慣がありますが、男性にはなかなかその機会も場所もないという現実があります。愚痴を言い合う、互いに迷惑をかけ合うことにはガス抜きするという以外に、弱みを見せることで互いの関係性(つまり愛)を深めるという意味があるのではないでしょうか。私たちの活動は、「迷惑をかけない」価値観への挑戦で、それが結果的に子どもの生きやすい環境をつくることにつながっていければよいと思います。
頑張れ!愚痴男たち!
※Kネット会報9号に掲載された原稿です。