離婚・別居後の親子の面会交流に関する環境整備を求める意見書
現在、我が国では毎年約25万組の夫婦が離婚し、そのうち約14万組には未成年 の子がいる(平成20年人口動態調査)。ところが、離婚後はどちらか一方の親 だけが親権者となる単独親権制度を採用していることから、離婚時における子供 の奪い合いや、離婚・別居後に、子供と同居している親が子どもと別居している親 との面会交流を拒み、子供と別居親の交流が断たれてしまうという事例が少なくない。
子供との面会交流を求めて、全国の家庭裁判所に審判や調停を申し立てる件数は 年々増えており、平成20年度中の新規受理件数は、審判1020件、調停6261件に 上がっている。しかし、裁判所での調停や審判を経て定められた面会交流の取決めが 履行されなかったとしても、現行法の下では、強制執行の手法として間接強制しか 認められていないことから、その決定自体が守られないことも多いのが現状である。
そこで、現行の離婚後の単独親権制度を、先進国で主流となっている共同親権制度に 改めることによって、裁判所が別居親の立場により配慮した面会交流の取決めを 行うことや、離婚後も双方の親が子供を守っていくという意識の国民への浸透が図られ、 面会交流の取決めを履行しない同居親が少なくなる事が期待される。
一方で、いったん、離婚・別居した双方の親が子どもの監護について十分に話し合える 関係を再び築くことがきるのか、虐待やDVを原因とする離婚・別居の場合にどのように 対応するのか、あるいは、そもそも家族という高度に私的な関係に、どこまで司法が 介入すべきかといった根本的な課題があることも指摘されている。
しかし、「子どもにとって最善の利益が何か」という観点に立って考えれば、 離婚・別居後であっても、双方の親との面会交流を実現しやすくするための法整備や 国民意識の醸成についての議論を喚起し、現状を少しでも改善していくことが何より 必要である。
よって、国におかれては、離婚・別居後の親子の面会交流を実現しやすくする ための法整備を含む環境整備について、速やかに具体的な検討を進め、適切な措置を 講じられるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年3月23日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
法務大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(男女参画)
兵庫県議会議長 原 吉三
請願書